スズキの不正は、三菱自動車と違い燃費の水増しはなかったが、5月の国内軽自動車販売は前年同月比15.4%減。6月も減少基調が続くなど影響の長期化も懸念されており、失った信頼の回復は急務だ。
さらに最大の課題は、鈴木会長の「トップダウン」態勢から集団指導体制による「合議制」に移る過程で意思決定の早さといったスズキの“らしさ”が失われかねないことだ。この課題について8日の会見で鈴木俊宏社長は「全体最適、将来最適の形を早い段階で決めるので(意思決定の速度が遅く)なるわけではない」と反論した。
ただ、カリスマ経営者から新体制への移行が容易でないのは日本の企業史からも明らかだ。鈴木会長は会見で、今後の経営への関わり方について「後ろに下がって皆がチームでやっていく方向が大丈夫かを見極める」とした。新経営体制の確立に向け、どう道筋をつけるのか。それが、鈴木会長の最後の大仕事になる。(今井裕治)