3月期決算の上場企業の株主総会が来週から本格化する。昨年6月に東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード(企業統治原則)」の適用が開始されてから1年が過ぎ、社外取締役の選任が進むなど、形式面は整いつつある。一方、会計や製品性能をめぐる相次ぐ企業不祥事にみられるように、実態はまだ追い付かない状況だ。緒に就いた企業統治改革の流れを加速できるかが焦点となる。
複数選任増えるか
「昨年は企業統治原則の適用開始など多くの話題があった。今年は、その流れを深掘りして実効性を高められるかが問われる」。大和総研の吉川英徳コンサルタントは今年の株主総会の意義についてこう話す。
3月期決算の上場企業の株主総会が最も多く開かれるのは今月29日。ただ東証の集計では、全体に占める割合を示す集中率は約32%と過去最低となる見通し。企業統治原則が「日程の適切な設定を行うべきだ」と分散化を求めていることなどが背景にあり、企業が株主にとって議決権行使がしやすくなるよう歩み寄っている現れとも受け取れる。
企業統治改革の要の一つとされているのが、外部の目線で経営をチェックする社外取締役の活用だ。子会社のトップ人事をめぐる確執が表面化したセブン&アイ・ホールディングスでは新体制発足で社外取締役が重要な役割を担うなど、最近は存在感を高めている。