企業統治原則は上場企業に対し、独立した社外取締役を少なくとも2人以上選任するよう促している。社外取締役の複数選任は大企業を中心に進んでおり、東証が昨年7月に公表した資料では、複数選任の東証1部上場企業の割合は48.4%だった。今年はこの複数選任の企業がどれだけ増えるかが注目されそうだ。
社外取締役の複数選任には“外圧”の存在もある。海外の機関投資家が株主総会の議案への賛否を決める上で影響を与える米国の議決権行使助言会社、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は今年2月に導入した助言基準の中で、複数の社外取締役を選任しない企業の場合は、経営トップの取締役選任議案に反対するよう推奨している。
不祥事後の姿問う
一方、不祥事によって企業統治のあり方が批判される事例は後を絶たない。
企業統治の優等生とされたはずの東芝は不正会計問題を引き起こし、歴代3社長が辞任する事態に発展。三菱自動車は燃費データの不正発覚で、過去2度のリコール隠し問題を経験したにもかかわらず自浄作用が機能していなかったことが浮き彫りとなった。