
洋樽に熱処理を行う職人=宮崎県都農町の都農工場(有明産業提供)【拡大】
翌14年6月に社長に昇格した小田原氏はしばらく、宮崎の工場で洋樽づくりの作業に取り組み、「見て覚えろ」という職人の世界の大変さを痛感。将来を見据え職人の卵として20代の7人を思い切って採用し、事業継続の布石も打っていった。
◆発想の転換で新提案
一方で会社の強みもよく分かった。これまで洋樽は内部の焼き加減がミディアムの状態がほとんどだったが「焼き加減をライトにすればバニラ香が、逆にヘビーだとカラメル香が強調される。いろんな洋樽を提案すれば、お酒のバリエーションが広がる可能性が提案できる」(小田原氏)と手応えをつかんだ。
発想の転換で生まれ変わった会社の業績は、16年3月期の売上高が約4億円。ウイスキーブームに加え、世界的な洋樽不足などを追い風に、新樽だけでなく、中古樽をリメーク(再生)する需要も増え、経営は回復基調にある。
今後注力するのは、九州に多い焼酎メーカーの経営を再浮上させる提案を着実に実行していくことだ。現在の酒税法では、焼酎を樽で熟成して、そのまま市販することは難しい。そこでハチミツを混ぜたリキュールとして流通させ、下火となった焼酎市場の活性化に一役買いたい考えだ。クラウドファンディングで焼酎の樽酒販売を手がけたほか、早ければ来年末以降に京都や大阪に樽酒の魅力を発信する店舗出店を検討する。
洋樽製造に参入したのは、焼酎メーカーの要請を受けてのものだった。それだけに小田原氏は「樽のうまみ、香味で、焼酎でも新たな素晴らしいお酒ができることを世の中に広めたい」と、これからも樽酒の魅力を伝える活動に東奔西走する。(西川博明)