
日本で初めて公開された新型の「プリウスPHV」=東京都江東区【拡大】
逆に上海市はPHVを新エネ車と認定し、ナンバーを無償で発給するなど優遇措置を実施している。そのため、充電設備を持たない所有者がPHVをガソリンだけで走らせるという“対策”が横行したという。ガソリン車だとナンバー取得に8万元ほどかかるため、多少高くてもPHVをガソリンだけで走らせた方が得だったからだ。急遽(きゅうきょ)、上海市は充電設備の確保をPHV購入の条件とするよう“政策”を変更した。
中国政府は20年までにEV500万台を普及させ、それに見合った充電網を完成させる方針だが、計画は遅れ気味だ。都心部では充電設備が不足しており、EV普及のボトルネックになっている。航続距離の伸びたPHVは、充電設備不足を解消する新エネ車の切り札でもあり、大気汚染を改善する上でも効果が期待できる。早晩、北京市もPHVを新エネ車と認定せざるを得ないのではないだろうか。
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【プロフィル】森山博之
もりやま・ひろゆき 早大卒。旭化成広報室、同社北京事務所長(2007年7月~13年3月)などを経て、14年から遼寧中旭智業有限公司、旭リサーチセンター主幹研究員。58歳。大阪府出身。