
バンコク市内を試運転するパープルラインの車両(共同)【拡大】
人口減による国内市場が縮小する中、政府はインフラ輸出を成長戦略の柱に位置づけ、2020年には10年比で3倍の年間約30兆円のインフラ受注を目指す。だが、技術者の安全確保という前提が崩れれば、実動部隊となる企業の協力が得にくくなる。
現地従業員の安全確保は企業に委ねられているのが実情だ。OBが犠牲になったJR東日本の冨田哲郎社長は「テロで事業方針は変えない」と断言する一方、ある大手ゼネコンは「現地の軍隊に警備などを依頼する企業も出てくるかもしれない。コストは誰が持つのか」と不安がる。
大和総研の中里幸聖主任研究員は「インフラ整備には、テロの温床となる貧困を減らすためという大原則があるため、長期的には治安悪化の影響は限られる」としつつも、「短期的には現地社員のマインドに影響する懸念があり、企業は対策の必要に迫られるのではないか」と指摘する。
◇
■海外の交通渋滞対策で日本が関わる都市交通システム
(事業名/国名/開業年/特徴)
デリーメトロ/インド/2002年/整列乗車や女性専用車両
マニラMRT3号線/フィリピン/2000年/メンテナンスも日本側が受注
ジャカルタMRT/インドネシア/2018年/乗車券に交通系ICカード採用
パープルライン/タイ/2016年/メンテナンスも日本側が受注
ドバイメトロ/UAE/2009年/全自動の無人運転システム
※MRT=大量高速鉄道