ドイツ生まれでも“アメ車” フォードはなぜ日本で売れなかったか? (5/6ページ)

2016.7.24 17:05

フォードが誇る伝統のスポーツカー「マスタング」(写真:フォード・ジャパン)
フォードが誇る伝統のスポーツカー「マスタング」(写真:フォード・ジャパン)【拡大】

  • 記者が試乗したフォード「マスタング50YearsEdition」(上野嘉之撮影)
  • 記者が試乗したフォード「フィエスタ」(写真:佐藤正巳)
  • フォード「フィエスタ」のコクピット(写真:佐藤正巳)
  • フォードの本格SUV「エクスプローラー」(写真:フォード・ジャパン)

 また、プレミアムカーにふさわしいボディー剛性が感じられ、ハンドリングも乗り心地も高水準。レザーシート、8エアバッグ、リアビューカメラなど装備面も抜かりはなく、運転中は快適そのものだった。

 しかし何といってもマスタングの魅力は、アメリカン・スポーツカーとして歴史を重ねてきたアイデンティティだろう。その名を聞くだけで自由を連想するような、大胆で力強い個性。理屈抜きで胸が高鳴るスーパー・スポーツだ。

 SUVのエクスプローラーは、全長5m02cm、全幅2mで、3.5リッターV6エンジンを搭載。パワーも積載能力も余裕たっぷりで、後部座席を電動フルオートで畳めるなど高級装備も盛りだくさん。悪路踏破性は折り紙付きだというが、ゆったりと余裕あるドライブを楽しむための、大人のSUVだと感じた。

 「ワン・フォード」へ ブランド統一は道半ば

 アメリカ製の大きなフォード車は、アメ車ならではの豪快な魅力を放っている。一方、欧州生まれのフォード車は、性能、品質などの面でドイツや日本のメーカー製にひけをとらず、実際に欧州の市場でも高く評価されている。

 しかし、欧州フォードという存在は日本人にとって分かりにくい。NAVI CARSの河西編集長は「国籍ではドイツ車なのに、アメリカ車のイメージが強い。クルマの良し悪しと人気が一致しないことがよくわかる例。それだけ、ブランドイメージの確立が難しいということでもある」と指摘する。

 自動車ジャーナリストの河口さんは「販売店やサービス網の少なさ、また商品自体の個性という面で、(他の輸入車と比較して)あえてこのブランドを選ぶ理由があまり感じられなかった」と率直に指摘。「ブレッドアンドバターカー(生活道具としてのクルマ)ならば国産車、という意識も日本の消費者にはあったと思う」と分析する。実用性で国産車と比べれば、輸入車はどうしても割高に感じられることは否めないという。

他の欧米ブランドもフォードに続いて日本を撤退しないか、不安視する声も…

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