ドイツ生まれでも“アメ車” フォードはなぜ日本で売れなかったか? (6/6ページ)

2016.7.24 17:05

フォードが誇る伝統のスポーツカー「マスタング」(写真:フォード・ジャパン)
フォードが誇る伝統のスポーツカー「マスタング」(写真:フォード・ジャパン)【拡大】

  • 記者が試乗したフォード「マスタング50YearsEdition」(上野嘉之撮影)
  • 記者が試乗したフォード「フィエスタ」(写真:佐藤正巳)
  • フォード「フィエスタ」のコクピット(写真:佐藤正巳)
  • フォードの本格SUV「エクスプローラー」(写真:フォード・ジャパン)

 近年、フォード自身が「ワン・フォード」を掲げ、米国や欧州にかかわらずブランドアイデンティティーを統一しようとしていた。その道半ばで、日本からの撤退が決まってしまった。

 輸入車販売業界では、フォードの撤退について「日本のマーケットが見放されてしまった」という思いがあり、他の欧米ブランドもフォードに続いて日本を撤退しないか、不安視する声が挙がっている。欧米の主要メーカーが、成長著しい中国、インド市場に注力しているのも事実だ。

 今後、フォードが日本に帰ってくることはあるのだろうか? 河西編集長は「フォードにしか作れない車があり、フォードの熱心なファンがいる。マニアックでニッチな車だけでもいいので、輸入が再開されることを願っている。フォードの火が消えてしまうのは寂しい」とラブコールを送る。

 一方、河口さんは日本再参入の必須条件として「安全装備や、フォードが得意とするテレマティクス(移動通信を利用したサービス提供)の充実」を挙げる。フォードは、ITを生かした“クルマの情報化”でも世界最先端を走っているからだ。

 「85万円プレゼント」も

 フォード・ジャパンは6月14日、日本撤退後のアフターサービスについて、10月1日から輸入自動車・オートバイの販売を手掛けるピーシーアイが提供すると発表した。部品供給、車両保証、リコールなどのサービスは今後も継続され、ユーザーは不安なく乗り続けることができそうだ。

 またフォード・ジャパンは撤退前の在庫一掃に向けて、新車購入資金を最大で85万円もプレゼントする「サンクスセール」を開催している。SUVのクーガは実質85万円引き、フィエスタは実質55万円引きとなる。アフターサービスが継続されることを勘案すると、個性的で魅力的なフォード車に関心がある人には、購入の選択肢に入ることだろう。

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