なけなしの資金をかき集めて乾坤一擲、装置を開発すると、関東一円のパチンコ店から注文が殺到。カメラと映像記録用レコーダーをセットにした監視カメラシステムの販売が本業と知れ渡ると、併せて受注増という“副産物”まで付き、社業は息を吹き返す。ジェットコースターにも似た人生!
危機を脱するとアフターサービスや技術の充実を図る。年中無休サポート体制を整え、スマートフォンなどで映像を見られ遠隔操作もできる監視システムも開発。飲食店や介護施設向けなど顧客数は拡大を続けている。
高周波感知装置の需要に気付き、自ら今を切り開いたのはご本人。だが、中吊り広告からの発想は、「なぜか人に好きになってもらえてきた」という、真摯に人生に取り組む者への“神授のひらめき”ではなかったろうか。
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【プロフィル】長田研自
おさだ・けんじ 現I.T.Aシステム創業社長を含め5業界を経験。3社目の退職時、「同業他社に行かない」と血判状を取られ警戒された程の営業力を持つ。「次は若い女性店員のいるアイスクリーム店。知らないことはやらない、という人の気が知れない」。サルトルの実存主義に学生時代から共感する63歳。京都府出身。
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<企業プロフィル>
登記社名アイ.ティー.エイ.システム。91年設立。監視カメラシステム設計施工とメンテナンス、アフターサービスを実施。顧客開拓エリアは故障連絡に即応すべく本社から250キロ圏内に絞るなどアフターケア充実に特色。スマートフォンによる遠隔監視システムなど開発力が高い。社員12人と少数精鋭で大学中退者複数。「社会での活躍に大卒の肩書は無関係」と社員が信頼される企業風土。
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