長田研自・I.T.Aシステム代表取締役社長(写真中央)【拡大】
□梶原隆司・ツインズ代表取締役社長
■遊び心で大発明“結ばない靴ひも”「キャタピラン」
買い物に行けば、店の駐車場に妻置き去りで売り場巡りへ。ご本人いわく「駐車場離婚」。家では夜な夜な通販番組漬け。こんな市場分析努力がアスリートやスポーツ愛好者に人気の、結ぶ必要のないシューズひも「キャタピラン」の発明に結びついた。
「人生の目的を探して」21歳でオーストラリアに渡り、英語を学ぶ傍らスキューバダイビングインストラクターとして2年間を過ごす。帰国後はトラックドライバーに英会話学校営業マン、家電部品メーカーで香港駐在員…。気力、体力、英会話力を武器に彷徨の時代を過ごすと1999年、32歳で独立。部品メーカーが倒産し、香港の取引先家電メーカー社長から「ウチの商品、日本で売らない?」と持ちかけられての創業だった。
ホットプレートなどを輸入販売するほか、ダイカストメーカーが所有し遊休化した日本製工作機械を買い取り、輸出するビジネスを手掛け、「日本製機械は引く手あまた。連日、倒産企業を調べては電話し、受話器の向こうで『日本の財産を海外へ流すのか』とよく怒声を浴びました」
経営が軌道に乗ると、自社ブランド入りキッチン用品などの販売を開始。マーケティングや企画、販売は自社で。生産は中国や台湾の海外メーカーへのアウトソーシングで。Fabless(ファブレス=工場なし)メーカーとして生き残れたのは、英会話力や、香港時代の人脈など彷徨の人生経験を“総動員”できたたまものか。加えて「メーカー勤務だったから開発好き」の情熱。ハニカム反射板を使う熱効率のよい暖房機、風羽の切り方を工夫し前にも後ろにも風が行く扇風機-。あると便利なモノを量産していく。