
関西電力の相生火力発電所=同社提供【拡大】
原発の再稼働が見通せない関西電力にとって、今や火力発電が“命綱”になっている。だが、その弊害となるのが割高な燃料費だ。東日本大震災以降、関電の電源構成比率で4割を超えていた基幹電源の原発が相次ぎ停止。火力に頼らざるをえない中で燃料費が膨らみ、厳しい財務状況に陥ったことで早期の効率化を迫られている。原発ゼロの状態が続く中、石油だけでなく、天然ガスや石炭も燃料として使えるように発電所の設備改造を進めるなど、収益改善に躍起になっている。(中山玲子)
割高な石油から、天然ガスや石炭に
「4月に電力小売りが全面自由化され、(競争力を高めるためには)経営の効率化やスリム化がこれまで以上に必要になってくる」
関電のある幹部は発電コストが比較的高い火力発電事業について、合理化の必要性を強調する。関電は今年5月、相生発電所(兵庫県相生市)の1号機(出力37・5万キロワット)で火力発電の燃料を、重油・原油といった石油に加え、液化天然ガス(LNG)も使えるように設備を改造し運転を始めた。3号機も同様の設備改造を実施したうえで、8月から切り替える。
火力発電には、燃料を石油、LNG、石炭とする3種類の発電所があり、発電コストはそれぞれ大きく異なる。経済産業省資源エネルギー庁の資料によると、原発の発電コストを1とした場合、LNG火力が1・34、石炭火力は1・29。これに対し、石油火力は3~4と特に高いため、関電は相生発電所1・3号機のLNG化を決めた。