日立製作所が、工具と半導体製造装置の事業売却を検討していることが5日、分かった。事業の選択と集中を進め、電力や鉄道をはじめとする社会インフラ関連などに経営資源を重点投入する一方、非中核事業の整理を進め、収益力を高める狙いがあるとみられる。今後は売却先選定を進め、来年中の実施を目指す。
売却を検討しているのは、工具事業を手がける日立工機と、日立国際電気の半導体製造装置事業。ともに東証1部上場で、日立製作所が筆頭株主。2016年3月期の連結業績は日立工機が売上高1415億円、最終利益10億円。日立国際電気は売上高1807億円、最終利益129億円。
日立製作所は同日、「事業強化に向けて、さまざまな検討をしている」とのコメントを発表した。
同社は苦戦が続く電機大手では“勝ち組”に数えられるが、16年3月期の営業利益率は6.3%にとどまり、海外勢に比べると見劣りは否めない。このため今年5月に発表した新中期経営計画で、19年3月期に利益率を8%まで高める目標を掲げ、高収益体質への転換を急いでいる。
一方、今年に入り保有する日立物流株の約半分をSGホールディングスへ売却。リース事業を手がける日立キャピタル株についても保有株の半分近くを三菱UFJフィナンシャル・グループに譲渡するなど、非中核事業の整理を加速している。