富士通がパソコン事業を世界最大手の中国のレノボ・グループと統合する方向で最終調整に入った。分社化したパソコン事業会社にレノボが過半を出資する案を軸に交渉している。「FMV」ブランドは残す方向で検討している。また、島根県出雲市と福島県伊達市にある工場は存続する方向で、2千人規模の人員がレノボに移る見通しだ。
国内のパソコン市場は縮小傾向が続いている。富士通はパソコン事業をレノボ傘下に移管し、コスト競争力を強化する。富士通は6日、「本件を含めさまざまな可能性を検討している」とコメントを発表した。
富士通はこれまで、パソコンを主力事業の1つに位置づけ、ピークの平成19年度の出荷台数は881万台に達した。しかしその後、国内市場は250万台前後で横ばい状態が続き、海外販売は激減した。27年度は海外、国内とも200万台(タブレット端末含む)に落ち込んだ。
このため富士通は28年2月にパソコン事業を別会社化したほか、東芝やVAIO(長野県安曇野市)との事業統合を模索したが、不調に終わり、ついに自力再生を断念した。富士通は、米HPやデルを含む数社と交渉の末、生産工場や「FMV」ブランド維持などに柔軟な姿勢をみせたレノボと最終調整に入った。
かつて日本の電機メーカーはほぼ全社がパソコンを製造していた。だが、台湾や中国の受託製造サービス(EMS)大手が、低コストを武器に世界市場で勢力を拡大。EMS活用で規模拡大を進めたレノボ、HP、デルの3社が世界市場の半分を占める寡占状態となり、日本勢は撤退・再編を余儀なくされている。
富士通が他力本願でパソコン事業の維持を決断したことで、国内パソコン事業再編は大詰めを迎えることになりそうだ。(芳賀由明)