日本通信がソフトバンクに激怒「ウソをついている」 格安スマホめぐりバトル (1/3ページ)

格安スマホ事業について説明するLINEモバイルの嘉戸彩乃社長=9月5日、東京都渋谷区
格安スマホ事業について説明するLINEモバイルの嘉戸彩乃社長=9月5日、東京都渋谷区【拡大】

  • 日本通信の福田尚久社長
  • ソフトバンクの宮内謙社長

 無料対話アプリのLINEも参入するなど、注目が高まっている格安スマートフォン業界で波乱が起きている。ソフトバンクから回線を借りて主にソフトバンクのiPhone(アイフォーン)利用者に格安でサービスを提供しようとした、仮想移動体通信事業者(MVNO)の日本通信が9月29日、申し入れが拒否されたことを不服として協議の再開命令を出すように総務省に申立書を提出したのだ。ソフトバンクはこれに対して「拒否はしていない」としており、総務省の判断と両社の協議の行方に格安スマホ利用者や業界の注目が集まっている。

 「ソフトバンクが『拒否していない』というのは大変な誤りだ。ウソをついている」。日本通信の三田聖二会長は9月30日、電話会議による記者会見で、憤りを隠せなかった。

 会見した日本通信によると、同社は昨年8月にソフトバンクの回線を借りて格安スマホ事業を始めるため、ソフトバンクの携帯回線への接続を申し入れた。携帯大手3社はMVNOの申し入れに応じて接続する法的義務があるため、ソフトバンクは申し入れに応じる構えだったが、「SIMフリー端末以外は接続できない」と、条件付きで回答してきたというのだ。日本通信は、この条件付き回答に激怒。会見で福田尚久社長は「100の要望に対して、100こたえない限りは接続拒否なのです」と述べ、端末を限定した上での回線の貸し出しは、貸し出していないのと同じだと主張した。

日本通信 平成8年5月創業。13年に日本で初めての仮想移動体通信事業者(MVNO)として、PHSのデータ通信で同事業を開始。19年にはNTTドコモから回線を借りる際の接続料をめぐって総務相裁定を申請。格安条件で通信網を利用する権利を獲得した後、20年からドコモの第3世代携帯に対応したMVNO事業を開始した。しかし、楽天やイオンなど異業種のMVNO参入が相次いだことなどでシェアが低下。今年8月には個人向けのMVNO事業から撤退した。3月末現在で社員数は123人。本社は東京都港区。

日本通信はなぜ激怒しているのか?