
「二子玉川蔦屋家電」の店頭に初めて並んだUPQの製品=2015年9月、東京都世田谷区(UPQ提供)【拡大】
オリジナルのケーキなどでどうやって人を集めるのか、売れる商品をどう作るのかといったマーケティングを実践する場となった。UPQのビジネスにもつながる面があるという。
14年に入って3Dプリンターが普及し始め、ものづくりベンチャーの立ち上げを支援する施設なども整ってきた。いつの間にか若い女性の間でも「格安SIM」という言葉が日常的に使われるようになる。「時代が来た。すぐものづくりの現場に戻りたい」。オリジナル家電ブランド「UPQ」誕生に向けて中沢代表は一気に動き出す。
期待に応えたい
多品種少量生産を志向するUPQが目を付けたのが、経済の減速感が強まった中国だ。オーダーメードで作ってくれそうな工場を片っ端から調べ、香港の専門見本市で名刺交換し、その翌日に工場を見せてもらった。以降、日本と現地の工場とを行ったり来たりの日々が続く。
最近、65型4Kディスプレー100台を「二子玉川 蔦屋家電」の店頭と通販サイトで限定販売した。「販売店と協力すればどんなものが作れるかを試したかった」。消費税別配送料込みで14万9000円の価格設定が消費者に評価され、通販サイト分はわずか6日で完売した。
中沢代表は「安全、安心に最大限の注意を払ったうえで、多くの人に期待してもらえるようなことを常に意識して開発をしていきたい」と話す。高機能だけに頼らず、売り方、作り方、見せ方などで工夫を凝らせば、「日の丸家電」はこれからも世界を舞台に戦えそうだ。
【プロフィル】中沢優子
なかざわ・ゆうこ 中央大経卒。2007年カシオ計算機に入社、12年退社。カフェ店経営などを経て、15年7月UPQ(アップ・キュー)を設立し、現職。32歳。東京都出身。
【会社概要】UPQ
▽本社=東京都文京区湯島3-14-9 湯島ビル4階
▽設立=2015年7月
▽資本金=100万円
▽従業員=6人
▽事業内容=独自のデザインに基づいた家電製品の企画、販売など