
シチズンが開発したムーブメント1ミリ以下の「エコ・ドライブワン」=5日、東京都西東京市(荻窪佳撮影)【拡大】
従来サイズは厚さ1.47ミリで1ミリのスペースからはみ出してしまう。これを0.96ミリまで薄くするために、磁石と歯車を結ぶ「座」と呼ばれる金属部品を使わず、レーザー溶接で固定する斬新な技法を編み出した。
厚さ1ミリ以下のものが存在しなかった2次電池も、電池メーカーの日立マクセルとの共同開発で0.9ミリにまで縮小。このほか、時計を動かすのに欠かせないコイルについても芯は厚さ0.3ミリ、巻線は0.017ミリの極細サイズにするなどの工夫を凝らした。
薄型化が実現しても喜んでばかりはいられない。「薄くなると水圧に弱くなり、水にぬれると形がたわみやすくなるといったデメリットが生じる」(今村さん)からだ。
このため、ガラスを囲むベゼルや裏ぶたに「バインダレス超硬合金」「サーメット」という強度に優れた新素材を採用して外装を頑丈にした。薄さとたくましさを兼ね備えた「オンリーワン」の時計が生まれた。
人間でいえば、40歳はいい大人だが、いろいろなことに挑戦もできる年齢だ。エコ・ドライブも成長を続けていく。(宇野貴文)