だがNYTは逆に反発したのか、中国高官のスキャンダルを追い続ける。14年には中国の保険規制当局のトップが、米金融大手JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)に知人の採用を要請していたと特報。同社をめぐってはその前年にも、中国高官の子女を採用する見返りに中国事業で便宜供与を受けた可能性があるとして米当局が調査に乗り出したと報じられている。
一方でNYTは15年から中国語版アプリの配信も始め、なんとか中国の読者を取り込もうとしていた。
こうしたNYT側の一連の動きが、「中国当局の神経を逆なでしたのではないか」(IT業界関係者)との見方が出ている。
実は、アップルも中国で「痛い目」にあっている。13年にiPhone(アイフォーン)の品質問題をめぐって袋だたきにあった。中国メディアが、アップルが故障したアイフォーンを新品に取り換えず、部品交換で済ませていたと報道。アップルは当初沈黙したが、不買運動まで巻き起こり、クック最高経営責任者(CEO)が「意思疎通が不十分で誤解を与えた」と陳謝に追い込まれた。
アップルが中国ビジネスへの影響を懸念したとの見方が当時も出たが、「トラウマ」を抱く同社が今回も当局の圧力に過敏に反応したのではないか、との指摘が出ている。グーグルも2010年、中国市場でのハッカー攻撃にさらされ、中国当局との軋轢も解消できず、検索サービスの撤退に追い込まれている。