米IT業界にとって本国は飽和状態となるなか、急成長する中国市場は無視できないどころか、開拓を競い合う主戦場となりつつある。さりとて、厳しい検閲でインターネットなど表現の自由は制限され、当局に都合の悪い報道は規制される傾向があるなどリスクも大きい。ジレンマに悩む実態が浮き彫りになった。
さらに、米国でいよいよ今月誕生するトランプ政権の動向を中国は注視している。トランプ氏は米国の製造業と雇用を守るとして、就任直後に中国を為替操作国に認定し、元安に対抗する方針を表明している。
溝が深かったトランプ氏とNYTの関係も変化が起きている。リベラル色の強いNYTは民主党候補のクリントン元国務長官を推し、宗教や性別に関して差別的な発言を繰り返したトランプ氏を批判していた。ところが、大統領当選が来待ったトランプ氏はなんとNYT本社を電撃訪問。社主や記者と懇談し、「和解か」と話題になった。
それぞれの思惑が交錯するなか、米中ビジネスと報道の自由をめぐり、摩擦の行方が注目される。(柿内公輔)