
乃村工藝社が高山陣屋で行ったプロジェクションマッピングの再現。最先端のディスプレイ技術で地域資源活性化を狙う【拡大】
そうならないよう、地域が最初から関わって、自分たちで観光資源を作り出すような活動が求められると西山教授は訴える。「本当の遺産は、地域社会の人がその社会を感じ、経済的な恩恵を受け、濃密に形成されて時に未来に継承されていく」。その一例として、九州にある太宰府市の取り組みを挙げた。どこにでもありそうなお地蔵様を中心にして、関連する建物や伝承を拾い出し、歴史的な価値を蘇らせ、自分たちの地域の遺産として誇れるもだということを周知していった。
西山教授は「世界遺産は市民遺産にしていくべき」といった持論も示して、ボトムアップ的な観光資産の創造と継承を呼びかけた。世界遺産の登録に漏れた、あるいは誇れるものが何もないと思い沈滞している地域があれば、振り返って自分たちが誇れるものは何かあるか、それをどういったストーリーに乗せていけば興味をもってもらえるかを考えてみるのも良さそうだ。
丹青社では、シニアプランニングディレクターの出原秀仁氏も登壇し、観光ビジネスのキーワードとして「魅力は磨き、創るもの」という言葉を挙げた。コンテンツにどのような魅力を付けていくかで、地方の町が人気の観光スポットにもなれば、歴史のある町が通り過ぎられて終わる場合もある。出原氏は「売れる串団子理論」というものを提示。「極上のコンテンツ」「極上の文化財」「極上の産品・商品」をターゲットに合わせたコンセプトで横ぐしにして、ストーリーを提案して興味を引く必要があることを訴えた。
2020年の東京オリンピック/パラリンピックに向けて増える訪日観光客や、従来にはない国内旅行を求める層に向け、観光資源をアピールする地域は今後ますます増えて来る。波に乗ろうとする新規事業者も現れそうだが、ターゲットとなるユーザーに対し、そこに行って体験する必要を感じさせるようなストーリーを提案し、訪れた人が満足できるようなプランへと昇華させられるかが、成功の鍵になりそうだ。