東芝が14日に公表した2016年4~12月期と17年3月期通期の業績見通しは、監査法人の了承を経ておらず、「当社の責任において当社としての見通しおよび見解を記述したもの」としており、上場企業としては「異例の措置」(金融関係者)といえる。決算発表と四半期報告書の提出を1カ月延期する状況の中、苦渋の対応を迫られた形だ。
東芝が公表した財務上の数値は、監査法人の意見次第では大きく修正される可能性がある。それでも、同社に対する市場の不信感がこれまでになく高まっている中、「何も情報開示をしないよりは良いと考えたのではないか」(同)との声がある。
一方で東芝は、法律で義務づけられている四半期報告書の提出期限を3月14日に1カ月延長することを申請し、当局に承認された。
東京証券取引所のルールでは、新たな期限である3月14日から8営業日以内の3月27日までに四半期報告書を提出できなければ、上場廃止基準に抵触する。
東芝が米原発事業に関して進める調査や手続きに想定以上の時間がかかれば提出期限の再延長を申請する可能性もあるが、当局が認めるかが焦点となる。
東芝は、不正会計問題に揺れた15年にも有価証券報告書を本来の期限だった6月末までに提出できず、8月末まで2カ月の延長が承認された。それでも提出に至らず、9月7日への再延長が認められ、やっと間に合った経緯がある。2度の延期は極めて異例だった。