
NTTドコモが「FOMA703i」シリーズを発表した2007年、スマートフォンの基本ソフト「アンドロイド」の開発が始動していた【拡大】
団体の狙いは新しい携帯電話の基本ソフト(OS)の開発。モバイル事業への参入を検討していたシュミットは、日本の通信会社や端末メーカーに協力を呼び掛けた。「あなたをリスペクトしている」。シュミットは夏野に語りかけた。日本からのグーグル検索の多くが携帯電話からだったことに驚いていた。「同じような状況をつくりたい」と話したシュミットは、iモードの革新性を見抜いていた。
「これはチャンスだ。シリコンバレーに100人くらい技術者を送って共同開発すべきだ。ドコモ携帯のOSをグーグル製にしよう」。夏野にとって、世界基準のOSは魅力的だった。「いずれ画面は大きくなる。それならグーグルのOSの方が相性がいい」
グーグルOS非採用
だが、反発は大きかった。「最も大切なOSを海外企業に依存するのか」「会社のパソコンはマイクロソフトじゃないですか」「パソコンと携帯は違う」
社内会議でやり合った。結局、大規模な技術者の派遣とOSの採用は実現しなかった。