
日立製作所の中畑英信常務(左)に、要求書を手渡す日立製作所労働組合の坂本達哉中央執行委員長=16日、東京都千代田区(菊本和人撮影)【拡大】
賃上げへの逆風は業績悪化にとどまらない。自動車、電機とも、人工知能(AI)など先端領域で世界規模の開発競争が激化し、投資負担が膨らむ一方だ。しかも28年春闘まで各社が3年連続のベアに踏み切ったことで固定費負担も増大している。加えて、保護主義的なトランプ政権の誕生により世界経済の先行きも見通しにくくなった。
こうした情勢を背景として、日立製作所の中畑英信執行役常務は「昨年より事業環境は不安定さを増している」とベアを牽制(けんせい)。トヨタの豊田章男社長も22日の労使交渉で、「経営環境はかつてないほど不透明」として賃上げに慎重姿勢を示した。
28年春闘を振り返ると、自動車、電機各社の労組は月額3千円のベアを要求したが、トヨタや電機大手の妥結額は1500円と要求の半分にとどまった。今春闘は昨年より業績も経営環境も悪化しており、昨年並みの1500円を維持するか千円前後まで下がるかが最大の争点だ。
電通新入社員の過労自殺などを受け、長時間労働の見直しなど「働き方改革」も焦点となる。