
米ウェスチングハウスが建設しているボーグル原発3、4号機の冷却塔=米ジョージア州(共同)【拡大】
東芝は14日、米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の株式の過半を売却する方針を表明したが、巨額の損失を垂れ流し続けてきたWHの売却先を探すのは難しい。米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請する可能性も捨てきれない。
「WHの(東芝グループにおける)位置づけを根本的に見直す」
東芝の綱川智社長は14日の記者会見でこう述べた。今後は海外の原発事業から事実上撤退し、国内での廃炉や再稼働に専念することになる。
東芝は2006年にWHを買収した。だが、東京電力福島第1原子力発電所事故の発生に伴う世界的な安全性見直しの動きで、原発を成長エンジンにしたいとの買収のもくろみは外れたばかりか、WHは東芝の財務をむしばむ「疫病神」となってしまった。
米原発事業で東芝が抱え込んだ損失は、建設中の原発4基などに絡んだ今回の7125億円にとどまらない。16年3月期にも、WHを中心とする原発事業で約2500億円の減損損失を計上したばかり。
しかも、4基の原発は20年までに完成できず、損失がさらに膨らむ恐れもある。株式売却でWHをグループから切り離すことができれば、底の見えない損失拡大の泥沼から脱出できるわけだ。
売却について綱川社長は「売上高の8割を(原発新設ではなく)サービスや燃料が占め、安定している部分もある。総合してみていただければ(買い手が)ないわけではない」と強調した。