□山本みずき「iRONNA」特別編集長
■エネルギー自給率「6%」の現実 原子燃料サイクルの着実な推進を
英国の欧州連合(EU)離脱や米国の新政権にみられる保護主義はこれからどこに向かうのか。不確実性が格段に増している国際情勢の先行きは、食料やエネルギーの多くを海外からの輸入に頼る日本にとって注視すべきテーマだ。東日本大震災以降、原子力発電所の停止に伴い、日本は電力供給の8割以上を火力発電所に頼っている。化石燃料のほとんどを海外に依存する日本のエネルギー自給率は、先進国の中で最低レベルの6%と危機的な水準にある。資源に乏しい日本は、エネルギー安全保障上、安全が確認された原子力発電所の再稼働と、使用済み燃料を有効活用する原子燃料サイクルの推進に取り組んでいる。今回、原子燃料サイクルの意義やその必要性を確かめるべく、総合オピニオンサイト「iRONNA」の山本みずき特別編集長が、青森県六ヶ所村にある再処理工場を訪れた。
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■「資源の有効活用」と「廃棄物の減容化」 安全性向上に向けた取り組み
山本みずき・iRONNA特別編集長 原子燃料サイクルの意義、再処理工場の必要性については、どのように考えたら良いのでしょうか。
赤坂猛・日本原燃広報部部長 原子燃料サイクルとは、原子力発電所で使用したウラン燃料から、核分裂していないウランや新たに生まれたプルトニウムなどをエネルギー資源として回収し、再び原子力発電の燃料として使用する仕組みのことを言います。国は、国内の原子力発電所で発生する使用済み燃料を全量再処理する方針を掲げており、使用済み燃料はすべて再処理工場に集められることになっています。ここで、プルトニウムとウランを再処理して取り出し、ウラン燃料やMOX燃料(Mixed Oxide Fuel)の原料として使えるようにするのが再処理工場の役割です。つまり、再処理工場は、“準国産エネルギー資源創出の場”であり、原子燃料サイクルは、限りあるウラン資源の有効活用に資する取り組みとして非常に重要な意味合いを持っています。