
PRセンターで山本みずきiRONNA特別編集長(左)に再処理の仕組みを説明する赤坂広報部部長【拡大】
山本 日本のエネルギー自給率の向上にもつながり、安全保障上のリスクも低減できますね。
赤坂 さらに、原子燃料サイクルは、廃棄物の量を減らすことができるという、もうひとつ大きなメリットがあります。使用済み燃料を再処理せずに直接処分する場合、使用済み燃料そのものが高レベル放射性廃棄物となります。一方、再処理をする場合、資源として再利用できない高レベル廃液のみを取り出してガラス固化体として処分するため、直接処分と比較して体積は約4分の1になります。また、再処理後のガラス固化体からはウランやプルトニウムが除かれるため、天然ウラン並みの有害度になる期間は、直接処分が約10万年かかるのに対して約8000年と、約12分の1にまで低減します。
山本 原子燃料サイクルは、ウラン資源の有効活用と廃棄物の減容化という極めて重要な目的があるのですね。
山本 福島第一原子力発電所の事故以降、原子力発電に対する不安が高まっているように思います。再処理工場の安全性を心配する人も多いのではないですか。
赤坂 原子力発電所と同様に、再処理工場でも新規制基準への適合性確認審査の対応と安全対策工事を鋭意進めています。例えば、電源喪失に至らないように非常用ディーゼル発電機や電源車を敷地内に複数配備する、冷却水を確保するために大規模な貯水槽を設置するなど、各種対策においては設備の多様化、多重化を図ってあらゆるリスクに対処できるようにしています。また、ハード面だけでなく、ソフト面においても、さまざまな事態を想定した訓練を通じて安全性向上に向けた対応力を磨いています。あえて過酷な冬場や夜間を含めて繰り返し訓練を実施しています。