東芝子会社の米WHが月内にも申請する米破産法11条は、「チャプター11」と呼ばれ、裁判所の監督の下、借金の減免などを債権者にお願いして、事業を進めながら再建を進める仕組みだ。適用が認められれば、損失の原因となっている原発の新規受注を絞り込み、黒字の原発燃料やサービスを中心に再建することになるとみられる。
東芝はWH株の過半を売却し、グループから切り離す方針だ。破綻処理で債務が整理され、損失リスクが排除できれば、売却先も探しやすくなる。
東芝はWHに債務保証を行っている。破産法適用で、東芝が背負う損失は7125億円から最大1兆円程度に膨らむ可能性がある。
ただ、東芝経営陣では、現在入札を進めている半導体メモリー事業の売却額を1兆5000億~2兆円と想定。損失をカバーできるとみているようだ。
WHが巨額損失を抱える原因となった米国で建設中の原発は、2020年までに完成できなければ新たな損失が出る恐れがあるが、こうした負の連鎖を断ち切れる。損失の確定で銀行団の支援も取り付けやすくなり、現在協議を進めている4月以降の融資継続に道が開く。
一方、WHが建設中の原発4基のうち、2基は米政府が83億ドル(約9500億円)の債務保証を行っている。国民負担が生じる可能性もあるため、外交問題に発展しかねない。半導体の売却が予定通り進まない可能性もあり、ギリギリまで調整を続けることになりそうだ。(井田通人)