
苦境が続く東芝の本社ビル=東京都港区【拡大】
だが、韓国では韓国電力がWHの買収判断を当面保留するとの現地報道もある。朴槿恵大統領が弾劾で罷免され、リスクのある原発をめぐる取引に政治的な後押しが困難になっているといい、買収が実現するか不透明な部分もある。
東芝はWHによる米国での原発工事をめぐり、7000億円超の損失を計上しており、破産法を申請すれば損失は総額1兆円規模に膨らむとの見方も出ている。一方、WHを連結から切り離せば、海外原発事業で損失が膨らみ続けるリスクを遮断して、苦境から抜け出すことができるとみられる。
【用語解説】韓国電力
1982年に国有化された韓国の公営電力会社。2015年末現在、韓国政府と政府系の韓国産業銀行(KDB)が株式の約51%を保有し、本社は南西部の全羅南道羅州市に置く。アラブ首長国連邦(UAE)初の原発建設を受注するなど海外展開にも積極的。01年、事業効率化のため発電部門を子会社化し、原発を運営する「韓国水力原子力」と、火力発電所を運営する5社の計6社に分割した。