中堅幹部も疑心暗鬼 東芝の債務は本当に「1兆円」で終わるのか (5/5ページ)

2017.5.7 13:09


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 有価証券報告書の2021年度以降の偶発債務には9249億円という数字が書かれていて、「大部分の契約債務については見合いの販売契約を締結してまいります」とある(※2)。つまり、販売先は昨年段階でまだ決まっていないのだ。有価証券報告書の別の場所にも、「全量について、需要家との間で、主として長期の取引契約を締結する予定ですが、原油価格等の動向次第では(中略)損失が発生する可能性があります」となっている。電力会社やガス会社に損失が出ない価格で引き取ってもらえなければ、大損することになる。このリスクも何とか「遮断」しなければ、東芝再生の重い足かせになる。

 1年前、東芝は期末ギリギリで、将来を担う「虎の子」だった医療機器事業をキヤノンに売却、債務超過を回避した。決算書の「辻褄合わせ」に成功したわけだ。ところが今度は、当時は不要だと言っていたはずの原子力事業の減損を迫られて巨額の損失を計上することになった。残る「虎の子」の半導体事業を売却することで、今回も決算書の「辻褄」は何とか合わせるのだろうか。

 本当に1兆円の損で収まったとしても、目だった稼ぎ頭がなくなった「新生東芝」の前途は多難だ。何よりも、辻褄合わせの過程で欺き続けた投資家や社員の信頼を取り戻すのは容易ではないだろう。

 注1:当社海外連結子会社ウェスチングハウス社等の再生手続の申立について(2017年3月29日)

 http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20170329_1.pdf

 注2:2015年度-第177期(2016年3月期)有価証券報告書

 https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/library/sr/sr2015/tsr2015.pdf(PRESIDENT Online)

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