
東北本線を走るコンテナ列車。牽引するEH500形電気機関車は直流・交流区間とも走行可能で、2両をつなげた強力なパワーから「平成のマンモス」と異名を取る【拡大】
複数の荷主が専用列車で共同輸送するのは、1日約500本の列車を運行するJR貨物で初めての試みだった。
この8カ月後には、アサヒビールとキリンビールが貨物列車での共同輸送をすると発表、「ライバル同士の協業」として話題になった。関西の工場から北陸方面へ向けたビール・飲料の出荷を、従来のトラック輸送から鉄道輸送に切り替える施策だった。
JR貨物は近年、こうしたモーダルシフトの需要を順調に取り込んでいる。その結果、幹線コンテナ列車の貨物積載率は25年度の76.5%から27年度に80.2%へ向上し、鉄道事業が黒字化する原動力となった。
トラック運転手不足の深刻化や、環境負荷の低減に向けた国の補助金制度などが追い風となっていることも事実だ。それに加え、JR貨物の「自助努力」も実を結んだといえる。
「民間会社」へ、もう一段の脱皮
4年前就任した石田会長は日本郵船出身で、日本貨物航空や公益財団法人がん研究会の経営を立て直した「プロ経営者」だ。その実績をもとに、JR貨物の改革に取り組んだ。