
船余りによる世界的な受注低迷で厳しい状況が続く造船業界=津市【拡大】
業界では20年以降、硫黄酸化物(SOx)や二酸化炭素(CO2)の排出規制がさらに強化される。日本造船工業会の村山滋会長(川崎重工会長)は「18年ごろから受注は回復するのではないか」と話し、省エネや環境性能でリードする日本メーカーが有利になるとみる。だが、その場合も一時的に仕事が途絶えることを覚悟しなければならない。
三菱重工の場合、造船事業の売上高は1500億円程度で、今や国内10位にも入っていない。17年3月期で3兆9140億円の連結売上高に占める割合も大きくはない。このため、ある証券アナリストは「生産をやめるなど、もっと大胆な改革が必要」と踏み込み不足を指摘する。
もっとも貴重な国内雇用を守るためには、そう簡単に造船所を閉じられないのも事実。そのうえ技術力のある重工各社が撤退すれば、業界全体にマイナスの影響が及びかねない。「造船ニッポン」は、重大な岐路にさしかかっている。(井田通人)