
磐越西線ルートで活躍したディーゼル機関車DD51(日本石油輸送提供)【拡大】
「東北本線か磐越西線か、早急に決めてほしい」。線路を保有するJR東日本が選択を迫ってきた。線路の補修人員をJR貨物の選択した路線に集中投入するという。「経営サイドは一日も早く運べといっている」。JR貨物内の議論は紛糾した。
一方、機材調達を担う松田佳久さんは、水面下でディーゼル機関車DD51の調達に動き出していた。磐越西線で石油を運ぶためだ。盛岡行きで幻となった北上線構想の準備で、すでにDD51の所在はつかんでいた。「何台集められる?」。松田さんの問いに部下は「8両です」と即答した。「4編成だな」と松田さん。急勾配路線で重いタンク貨車を牽引(けんいん)する場合、DD51は2台つなげて運用する。「重連」といい、操縦技術も複雑だ。
東北本線は「はしご」
保守拠点の確保も難しい。最低でも3日に一度は点検が必要だ。DD51のような古いディーゼル機関車もメンテナンスできる技術者はいるのか。幸い、磐越西線で過去にDD51が走っており、東新潟機関区で7~8人の保守技術者を確保できた。東北本線が再開した場合、準備は無駄になる。