東芝が対立解消の糸口を見いだせないまま、優先交渉先を決定したことで、WDがさらなる強硬策に出る懸念もある。東芝以外の関係先を相手に売却を阻止する訴訟を起こす恐れもあるとみられ、事態は一層緊迫した情勢となりつつある。
「係争がないことが投資をする上での大前提だ」。日米韓連合の関係者は東芝とWDの対立に先行きの不透明感が強まる中、問題を解決しない限り出資すべきではないとの声が連合内にあることも明かす。
日米韓連合は東芝メモリの買収契約に、状況に応じて買収に伴う支払いを凍結できるといった「停止条件」を盛り込むことも検討している。訴訟次第では日米韓連合による買収が頓挫する事態も予想される。
■共同運営に反発も
日米韓連合自体に死角がないわけではない。連合の一角であるSKハイニックスは東芝メモリと同業のため、独禁法の審査が長期化しないで済むよう出資ではなく融資で資金を拠出する方向だ。ただ、SKが実質的に連合への関与を強める方策を視野に入れている可能性もあり、今後の連合への関わり方次第では「韓国に半導体が集中することをよしとしない中国の独禁法審査が厳しくなる」(関係者)との声もある。