日本発の簡易型携帯電話サービスとして低料金で若者を中心に人気を集めたPHSが、1日でサービス開始から22周年を迎える。ソフトバンクが新規受け付けを終了する来年3月末から数年のうちには、PHSは一般の通話機器としては完全に姿を消すことになる。ただ、IoT(モノのインターネット)機器としての活用や第5世代(5G)移動通信方式の基地局への応用など、PHSで培われた技術は今後も生き続けることになりそうだ。
先進性が人気呼ぶ
「PHSはマラソンのペースメーカーだった。携帯電話がサービスを後追いしてくれたときは時代に合っていたんだなと感じた」。サービス開始前の1994年から端末開発に携わり、携帯電話に先駆けた機能を提供してきたソフトバンクの須永康弘エナジー事業推進本部事業開発課長はこう振り返る。
家庭内のコードレス電話を家庭の外でも使えるようにという発想から生まれたPHSは、携帯電話が3分数百円の時代に3分40円程度の料金だったため、当初は携帯電話に匹敵する勢いで普及した。連続通話時間が2桁になるほど電池が長持ちしたのも携帯電話に比べた長所だった。須永氏は「携帯電話は(飛行機の)ビジネスクラス、PHSはエコノミークラスだった」と語る。