【北海道発 輝く】電制 発声補助する人工喉頭を開発 より人の声に近く改良 (2/5ページ)

 電制は、1977年に配電・制御装置メーカーとして創業。92年に道内メーカーとして初めてダム管理システムを納入するなど、電力関連を中心に事業を展開する一方、計測機器をはじめ、さまざまな電子機器も生産してきた。

電子部品を組み込み一台ずつ生産される人工咽頭「ユアトーン」の生産ライン=北海道江刺市

電子部品を組み込み一台ずつ生産される人工咽頭「ユアトーン」の生産ライン=北海道江刺市

 92年には、北海道大学と北海道工業試験場(現・北海道立総合研究機構工業試験場)との共同研究開発に参画。産学官一体となって福祉機器を生み出してきた。6年後の98年に世界で初めて音声抑揚を導入した人工喉頭を開発している。以来、改良を重ね、2009年に2代目を、さらに今回進化した3代目を製品化した。

 初代の製品では、日本語の同音異義語や方言、アクセント、濁音、なまりが人や地方によって異なるなど、発声の難しさも感じた。使っている機器の形状や素材から、左利き、右利きといった操作性の違いまで、多くの人たちに対応できるように、ユーザーの身になって試行錯誤を重ねてきた。

 ニーズを形に

 ユアトーンのオプションパーツ「パイプアダプター」も今年7月に発売。ユアトーン本体にパイプアダプターをかぶせて、口にパイプをくわえ、口と舌を動かすことで簡単に発声できる。

 開発のきっかけは、多数の医療機関からの問い合わせだ。喉頭摘出手術の後など皮膚の状態によって、ユアトーンを下あごに当てることができない人に対応した製品のニーズが高いことがわかり、開発に結びついた。従来製品にも使用でき、明瞭な発声を可能にしている。

新しい医療福祉機器として展開を