その“究極形”といえるのが無人店舗だ。「実際に店舗に誰もいない状態は不可能」(メガ関係者)だが、来店客が行員に相談したい場合は、基本的にモニター画面での遠隔対応を検討。店舗の人員は数人のみで、納税や振り込み、伝票などの確認は電子化されたデータを全国的に集約し、業務効率化を目指す。このほか、住宅ローンや投資信託の販売などに特化した店舗もあり得るという。
こうした店舗改革に加え、コールセンターや融資の情報分析など幅広い分野で人工知能(AI)を導入。金融とITを融合した金融サービス「フィンテック」を駆使し、国内業務の抜本改革に乗り出す。
三菱東京UFJ銀は、国内約480店舗の1~2割程度を削減、従業員数ベースでは9500人分に当たる業務量を減らす方向で検討に入った。みずほFGも約800店舗のうち20~30店を減らし、10年程度で約1万9000人分の業務合理化を検討。三井住友FGは約430店舗を維持するが規模を縮小。32年度までに4000人分の業務量を減らす方針を打ち出している。浮いた人員を都市部の支店を中心に投入し、収益力を取り戻す狙いだ。
希望退職の募集などはせず、バブル期の大量採用組の退職増と採用抑制で適正規模への調整を進める。
29年3月期に約5割が本業の貸し出しや手数料ビジネスで赤字に陥った地銀にも店舗合理化の波が押し寄せそうだ。「ただ、地域密着がモットーで顧客に寄り添う地銀が無人店舗ばかりになるのはおかしい」(関係者)との声もあり、地銀経営のかじ取りは、メガバンク以上に難しくなりそうだ。(飯田耕司)