さらにもう一点、Titleが示唆に富んでいるのは、Webを店の告知宣伝にうまく利用している点だ。開店前からブログとツイッターを開設して店づくりの準備のようすを随時報告して注目を集めたほか、公式サイトのトップページに「毎日のほん」という短いコラムを設けて日々の入荷本から飛びきりの1冊を紹介している。それがツイッターに転載されることもあり、日々動向をチェックするファンを生み出しているのだ。そうした人々が何かのきっかけで来店することも重なって、近所以外の来店客の多さにつながっている。
Webと実店舗は水と油のように語られることも多いけれど、現代人の情報源、そして拡散媒体としてWebの力は軽視できない。いかに実店舗が魅力的でも、その存在を広く知ってもらうためにはSNSの拡散力を利用するのがいちばん効率的な近道なのだ。アナログの商品にこだわりつつもWebの宣伝力も重く見る。これは、書店に限らず小売業全般の参考になる経営指針ではないだろうか。(待兼音二郎/5時から作家塾(R))
《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。