異色ぶりが話題 AIスピーカーで「ピカチュウと会話」、開発者が語る狙い (2/2ページ)

グーグルの「グーグルホームミニ」(左)とアマゾンの「エコードット」。「ピカチュウトーク」はスマートフォンアプリのようなもので、スピーカーの後ろに置いてあるぬいぐるみがなくても利用できる
グーグルの「グーグルホームミニ」(左)とアマゾンの「エコードット」。「ピカチュウトーク」はスマートフォンアプリのようなもので、スピーカーの後ろに置いてあるぬいぐるみがなくても利用できる【拡大】

  • 株式会社ポケモンの新藤貴行さん(左)と小川慧さん

「買い物、天気予報など色々な案が出ましたが『間口を広く、分かりやすく』という考えからおしゃべりに決まりました」と同室の小川慧さん。例えば、天気予報の機能を使うには、ユーザーが位置情報の利用許可設定をする手続きが発生することがある。そうした手間を省いてコンテンツを使ってもらうためにも、極力シンプルな案が採用されたそうだ。

「絵もなく『ピカピカ』としか言わないところまで振り切って、どれだけ多彩な反応で生き物のような感じを出していけるかというところがスタート地点でした。声だけで表現するものづくりは大変でしたが、皆さんが『ピカチュウがお家に来た』と想像してくれるのを期待しています」(小川さん)

 「ピカチュウトーク」は利用にお金がかからないので、株式会社ポケモンにとって収益化の手段ではない。一方で、小さい頃からポケモンの世界観に親しみ、ファンになった子供たちがゲームや関連商品を買うようになる効果が見込む。

プラットフォーマーが関心

 開発期間はわずか3、4カ月。日本市場向けのエンタメ系コンテンツが少ない時期に「ピカチュウトーク」が誕生したのには、プラットフォーマー(サービスを提供する基盤を持つ事業者)の思惑もあるようだ。

「昨年のスマートフォンアプリ『ポケモンGO』のヒット以降、いろんなプラットフォーマーさんからお話をいただくようになりました」(新藤さん)

 スマホと同じように、AIスピーカーでもコンテンツの魅力がプラットフォームの魅力を左右していくと予想される。機能を充実させたいプラットフォーマー、グーグルとアマゾンは子供も使える家族向けエンタメコンテンツを株式会社ポケモンに求めており、株式会社ポケモンには最新の機器でものづくりをしたい考えがあった。それぞれの狙いが合致したというのも開発期間の短さに繋がったという。

 新藤さんはこれからのAIスピーカーのエンタメ利用について「カードゲームやボードゲームなどの物理的なゲームとAIスピーカーを組み合わせることで新しい遊びが生まれるのでは」と展望を語った。