ネスカフェで「ダバダ」と「違いがわかる男」が消えた理由 (4/5ページ)

B2Bのビジネスモデルを導入

 成功したのはそれだけではない。これまでは製品を流通へ卸すメーカーに過ぎなかったのだが、製品とともにシステムを提供するモデルを確立することで、「ネスカフェアンバサダー」という直販に参入。さらに飲食店やオフィス、カーディーラーにコーヒーマシーンを設置して、事業のサポートなどを行うB2Bのビジネスモデルも取り入れたのだ。

 「このような進化ができたのは、日本人のコーヒーを飲む環境や、場所などが大きく変わってきた、という事実に気付くことができたからだと思っています。ダバダや違いがわかる男のおかげで今の我々がありますが、その一方であの時代とはまったく異なる新しいステージに入っている事実も認めなくてはいけません」(島川部長)

 これを聞いて素直に関心した。時代が変わって、過去の栄光とはどこかでサヨナラをしなくてはいけない、というのは誰もが頭では分かっているが、実行することは容易ではない。ましてや、大組織ならなおさらだ。

 どことは言わないが、なにかとつけて創業者の偉人伝を引っ張りだして、ドラマで放映する大企業があるように、「辛い時こそ原点にかえれ」「先人から受け継がれたホニャララを守り抜く」--そんなことをうたう組織も日本にはあふれている。

 伝統やブランドを守ることも大事だが、いつの間にやら、そちらが主たる目的となり、イノベーションを阻むことになる、という本末転倒なことになっている組織が多いのだ。

 このコラムで少し前に指摘したが、今のマクドナルドの好調さは、「クォーターパウンダー」という歴史のある基幹ブランドをスパッとやめたことが象徴されるように、過去の栄光とうまく決別し、時代と環境の変化に対応していることが大きい。

 ネスレの場合も、グローバル的には「生活の質を高め、さらに健康な未来づくりに貢献する」というパーパス(存在意義)があるだけで、ブランディングやマーケティングはローカルマーケットに一任されているという。そういう自由さがある組織だからこそ、ダバダや違いがわかる男という過去の栄光と“いい別れ方”ができたのではないか。

過去の栄光と“いいお別れ”ができているのか