「伝統と先端」の融合ネタを披露
高座には4人の落語家たちが、それぞれにドラゴンクエストシリーズをテーマにした噺をひっさげ登場した。まず前座。ドラキーと呼ばれるモンスターを頭にかぶって登場し、ドラキ亭らりほの輔と名乗った落語家は、座布団の上で顔を見せて改めて笑福亭茶光を名乗り、朝が弱く力仕事も嫌いな男が、動物園で動物の代わりをするという仕事を得て大変な事態に巻き込まれる落語「動物園」にドラクエの要素を入れて聞かせた。
ゴーレムのかぶり物で高座に上がったゴーレム亭めるきど丸こと笑福亭羽光は、古典落語のパロディではなく、異世界を救うために元芸人の男が“あるある話”で対決するというオリジナルを披露。「村を救ったのに宿代をきっちりとられる」といったドラクエファンならピンと来る話を織り交ぜ、落ちもドラクエならではのものにして笑わせた。
手に剣と盾を持ち、ナイト亭ぴえーる之丞として登場した笑福亭鉄瓶が演じたのは、古典落語の「運廻し」から「田楽喰い」の部分をドラクエと融合させたもの。ボタン連打で起こってしまうドラクエならではの現象を言って、こちらも笑いを誘っていた。トリを飾ったのが、スライム姿で登場したスライム家ぷる蔵こと三遊亭とむ。父と子が都々逸で勝負をする古典「都々逸親子」のパロディでさまざまな都々逸を披露し、こちらも落ちをファミコン時代のドラクエを知るファンならわかるネタで締めた。
ドラクエのファンなら大いに楽しめた「ドラクエ落語」。ドラクエにはそれほど詳しくない落語のファンでも、笑いが絶えなかった高座にドラクエへの興味をかき立てられたようだった。スクウェア・エニックスで「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」を手がける柴貴正プロデューサーも、「ドラクエも落語もエンターテインメントとして面白いもの。まだ遊んでない方はダウンロードして」とアピールした。好評ぶりにまた見たいといった声も少なくなく、伝統芸能と先端エンターテインメントをともに盛り上げる企画として、今後の開催に期待もかかる。