
Osaka Metro開業記念出発式。御堂筋線中百舌鳥駅での、始発列車を前に出発進行のポーズ=1日午前、堺市北区(安元雄太撮影)【拡大】
公営地下鉄としては全国で初めて民営化され、1日に大阪市営地下鉄から運営を引き継いだ新会社「大阪市高速電気軌道」(愛称・大阪メトロ)。経営の自由度が高まることで鉄道以外の事業展開が可能となるため、多角的な事業や従業員の意識改革により、増収やサービスの向上を目指す。
昭和8年に開業した市営地下鉄の運営を引き継ぐ大阪メトロは、JRを除けば営業収益や輸送人員で関西最大規模の鉄道会社となる。ただ当面は大阪市が全株式を保有。経営をめぐるチェックを市が行うなど公営色が色濃く残る始動となった。
吉村洋文・大阪市長はこの日の開業セレモニーで「無機質な駅を明るく元気に変えてほしい」とあいさつ。パナソニック出身の河井英明社長も「市の中心部をつなぐ立地や環境を生かし、最高のサービスを提供したい」と話した。
今後、大阪メトロが保有する土地や建物を子育て支援施設やホテルといった新規事業に活用するほか、駅ナカ・駅チカ事業の拡充を図る。
一方、市営バスも大阪メトロの子会社「大阪シティバス」に事業が引き継がれた。
紆余曲折15年 前進、後退繰り返した民営化議論
大阪市政の長年の重要課題だった大阪市営地下鉄の民営化。4人の歴代市長と市議会のもとで約15年にわたり前進、後退を繰り返しながら議論が重ねられ、ようやく実現した。
最初に民営化の必要性に言及したのは平成15年に初当選し、出直し市長選でも再選した関淳一氏。しかし、19年の市長選で勝利した平松邦夫氏は公営での改革を重視するスタンスだったため、議論はいったんストップした。