世界の新施設6割が再生エネ、電力供給25% 日本停滞が目立つ (1/2ページ)

モンゴルのサルキット風力発電所=2017年6月(自然エネルギー財団提供)
モンゴルのサルキット風力発電所=2017年6月(自然エネルギー財団提供)【拡大】

 太陽光や風力などで電気を作る再生可能エネルギーの拡大が続いている。中国や米国、欧州諸国だけでなく中東の産油国や中南米などの発展途上国でも急速に開発が進む。一方、日本では特に風力発電の停滞が目立つ。経済産業省は3月30日、2050年の長期エネルギー政策の課題を話し合う有識者会議で、再生可能エネルギーについて「主力化の可能性が拡大している電源」とする戦略素案を示したが、足元は、世界の流れに後れを取っている。

 エネルギーの専門家らでつくる「21世紀の再生可能エネルギーネットワーク」(REN21、本部フランス)によると、16年末時点で、大型水力発電を除く世界の再生可能エネルギーの発電能力は9億2100万キロワット。風力が4億8700万キロワット、太陽光が3億300万キロワットだった。

 欧州の太陽光発電業界団体によると、昨年1年間でこれに1億キロワット弱の太陽光発電が新たに加わった。風力発電の増加量も5300万キロワットと推定され、拡大が続いている。

 昨年1年間、世界で新たに建設された発電設備のうち60%超が再生可能エネルギーで、水力発電を含めると世界の電力供給の25%を占めるまでになった。

 背景にあるのが発電コストの急激な低下だ。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、10年時点の太陽光の発電コストは世界平均で1キロワット時当たり36セント(約38円)だったが、17年には10セントに下落。陸上風力は8セントから6セントになった。技術進展や価格競争の促進、参入企業の増加が要因だという。

 土地の価格が安く、風力や太陽光に恵まれた発展途上国で大規模な開発プロジェクトが相次いでいるのが近年の特徴で、これがコスト低下に拍車をかけている。

太陽光の総容量は米国に抜かれて3位に転落