これは事業のグローバル化にガバナンスが機能せず、体制整備が追い付かない企業個々の問題ともいえるが、同時に急速な会計処理の高度化、専門知識を備えた現場の人手不足などもあるだろう。
こうした状況を解決しない限り、今後も不適切会計が減ることは考えにくい。
◆日本取引所Gは「トップ自ら範を示せ」
3月30日、日本取引所グループは「上場会社における不祥事予防のプリンシパル(原則)」を策定、公表した。
重大な不正・不適切な行為等の不祥事を予防するため、6つの原則を打ち出し、現場と経営陣の双方向コミュニケーションの充実によるコンプライアンス違反防止やグループ全体を貫く実効的な経営管理徹底などを経営トップに求め、不適切会計防止にはトップ自らが範を示すことが必要としている。
不適切会計が発覚すると、信用失墜に加え、過去に遡る決算訂正、第三者委員会の設置など業務への悪影響は計り知れない。また、株主や取引先の眼差しも厳しくなり、信頼を取り戻すには多くの時間が必要になる。
それだけに不適切会計を生み出さない体制の構築をどの企業も求められている。
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