電機

アイボ復活は「らしくない」!? 元ソニー社員が指摘、ソニーは「らしい製品」が必要だ (6/8ページ)

 そして、そのハイテクの特長を活かしきった陰の主役が「ステレオミニプラグ・ジャック」だった。ソニーはこれを新たな業界標準にしようと考え、その技術を無償公開した。その結果、ソニーの開発した規格はポータブル機器の世界標準になり、その後のパーソナルオーディオ製品に例外なく採用されていったというわけだ。パーソナルポータブルオーディオの市場のいわばプラットフォームと述べた理由もここにある。

 ところが2016年、このソニーの発明が、アップルによって否定される事態が起こる。新製品iPhone7からこのミニジャックが消えたのだ。この事実はソニーにとってふたつの意味で非常に重い。

 ひとつは、ソニーのウォークマンのつくった“プラットフォーム”が否定され、その命脈が絶たれたことだ。もうひとつは、ソニー自身が自らの発明をあえて否定できなかったことだ。アップルによる否定をソニーがそれほど深刻に捉えたという様子は感じられない。もしこの指摘がはずれていないとすれば、ソニーはウォークマンの大成功を、生活文化を変化させた発想力の勝利と、ある意味で一面的に捉えているために、自分たちの独創性・強みがどこにあるのか客観的に分析する努力を怠っているのではないか。

 この6年間、ソニーは「感動を与える企業になる」「製品は差異化にこだわる」と言い続けてきた。しかし、以上考察したように、昨今世に送り出された製品を見るにつけ、このお題目が十分ソニーの製品群に反映されているとは言い難い。ソニーの課題はまさにこの点にあるのではないか。

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