電機

アイボ復活は「らしくない」!? 元ソニー社員が指摘、ソニーは「らしい製品」が必要だ (7/8ページ)

 社員が共有すべき「ソニーらしさ」とは何か

 ソニーの人たちは製品企画の話をするとき、異口同音に、「ソニーらしさ」と言うことばを使う。

 一体、ソニーらしさとは何だろうか。それがどんなものであるにせよ、これまで述べてきたように、過去、成長ドライバーの役割を果たしてきた製品と、現在の製品群との間にズレがあると言ってもそれほど間違いではないだろう。有機ELテレビのパネルは韓国メーカー製、iPhone7に引導を渡されたポータブルオーディオなどを見ていると、ソニーに期待をしているユーザーに対する、“ソニーらしさ”のメッセージは残念ながら彼らの製品群からはあまり伝わってこない。

 言い換えれば、“ソニーらしさ”とは何かに対する共通の認識が、ソニーの社員間、あるいはまたユーザーとの間で共有されているとは思えないのだ。こうなると“ソニーらしさ”を植えつけているはずの個々の製品に対する“共感”はどのレベルであろうと、生まれはしない。したがって、新社長である吉田氏に与えられた最大の課題は、その“ソニーらしさ”を定義することによって同社が取り組むべき開発のベクトルをソニーグループ全体で一致させることだ。そして過去のソニーの何を継承し、あるいは変革するのかを明確にすることだ。

 ソニーの内部には、“ソニーらしさ”の答えとして、その“代表選手”はペットロボット「aibo(アイボ)」だと考える人が多いようだ。しかし、筆者が昨年12月にプレジデントオンラインで主張したように、新しいアイボと過去のアイボにはつながりがない。したがって、生産が追いつかずウェーティングリストがあるという新しいアイボをやっと手に入れて喜び、場合によっては感動するユーザーがいるその陰で、息をしなくなった過去のアイボのお葬式をするユーザーがいる。後者のユーザーの中では、ソニーという企業に対して感動をおぼえる人はそんなにいないだろう。

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