思えばスマホは、アイフォーン以前に、元祖とされる製品「Black Berry(ブラックベリー)」が存在した。キーボードがあり、主にビジネスユースに限られていたブラックベリーに対し、ジョブズ氏はタッチパネルの画面操作、カメラ機能やアプリサービスで、スマホを誰もが使いやすく、楽しめる機器に生まれ変わらせた。スマホという概念は同じでも、全く異なるものだ。究極の改善はイノベーションといえることの証左だろう。
EVやAIを使う自動運転車も、ITと融合する「コネクティッドカー」も今はまだ入り口。身近なコストで、どんな地域環境でも安全に安心して利用できる大衆化の実現には、ブラックベリーがアイフォーンに化けたぐらい、あるいはそれ以上の発想・設計・要素技術の見直しが求められそうだ。それを突き詰められる改善のDNAがトヨタの強みだと、豊田社長は言いたかったのだろう。
《これからの時代に求められることはお客さまのニーズを先取りし、必要とされるサービスを必要なときに、必要なだけ提供する、「ジャストインタイム」の世界だ》
豊田社長は今後、販売店やアライアンス(提携)パートナーと連携し「車+サービス」のジャストインタイム提供を目指す。モビリティーを核とした暮らしの支援サービスだ。これは製品を売り切りで終わらせず、付加サービスで顧客基盤から継続的に収益を得る「リカーリング」と呼ばれる手法、まさにジョブズ氏が先駆けとされるビジネスモデルに通じる。