【ビジネス解読】豊田章男社長はジョブズになる? トヨタの社名から「自動車」が消える日 (4/4ページ)

  • 2018年3月期連結決算について、記者の質問に答えるトヨタ自動車の豊田章男社長=5月9日、東京都文京区(宮川浩和撮影)
  • 米アップルのiPhoneを手にするスティーブ・ジョブズCEO(当時)=2007年1月、米サンフランシスコ(AP)

 トヨタの19年3月期の連結販売台数見通しは、日本が前期比6万5000台減の219万台、北米が6000台減の280万台、欧州が2万8000台減の94万台と、いずれもマイナス予想だ。中国やアジアは伸びるが、人口減の日本はもとより成熟した先進国市場で販売台数の大きな伸びは今後も見込みにくい。台数は横ばいでも収益を伸ばせるリカーリングの重要性が高まるゆえんだ。

 《自動運転になろうが、シェアリングが進もうが、車には愛がつくものにしていきたい。それは絶対にこだわっていきたい》

 「愛車」という言葉があるように、レーシングドライバーとしてもハンドルを握る豊田社長は、車を操ることの楽しさを大切にし、車をパートナーととらえる考えがある。ジョブズ氏もまた、電子回路の美しさにこだわるなど、モノづくりに強い美学があり、それはビジネスモデルが変わる中でも「アップル」の高いブランド力の源泉だった。

 豊田氏が社名から「自動車」を外しても構わないと思えたら、その時が、目指すモデルチェンジの実現なのかもしれない。(池田昇)