【高論卓説】新アイフォーンへの関心が薄れる必然 「より高く売る」最強アップル陰りなし (2/3ページ)

8月にプレス向け内覧会がおこなわれた「Apple京都」、日本でも世界初の“和”デザインの直営店を公開するなど幅広く展開している=8月23日、京都市下京区(寺口純平撮影)
8月にプレス向け内覧会がおこなわれた「Apple京都」、日本でも世界初の“和”デザインの直営店を公開するなど幅広く展開している=8月23日、京都市下京区(寺口純平撮影)【拡大】

 なぜ、変化が著しいテクノロジー業界においてアップルは圧倒的な強みをキープできているのだろうか。2007年の初代アイフォーン発売から10年以上も、トップブランド(販売数では首位ではないが利益では圧倒的)を維持しているのは何とも不思議である。

 その疑問への明快な回答を見つけた。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの特異な成功について詳述した『the Four』著者のスコット・ギャロウェイ・ニューヨーク大学ビジネススクール教授は、アップルを「最高級ブランドのビジネスモデルと似ており、テクノロジー企業ではない」と断じている。「アップルの現在の事業は人々に製品、サービス、そして感情を販売することだ」

 テクノロジー企業ではない、という表現は、アップルに対する揶揄(やゆ)の言葉ではない。テクノロジーにまともに取り組んでしまうと「より多くをより安く提供するという哲学(ムーアの法則)」に縛られてしまう。そのため、一時的に栄華を極めたとしても短期間で没落してしまうリスクがある。それに対し、「より高く売っていく」ことを目指す最高級ブランドのビジネスモデルであれば、栄華の時代が長く続くのである。

 アイフォーンは発売から10年以上たち、販売台数では世界シェア15%程度にすぎない。しかし、利益面では圧倒的な強みを持っており、「全世界のスマートフォンメーカーが稼ぐ利益の80%を占めている」とギャロウェイ教授は指摘する。

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