
NTTドコモの内定式であいさつする吉沢和弘社長=1日、東京都港区【拡大】
就活の時期をめぐる議論は1950年代後半から繰り返され、96年にそれまでの就職協定が廃止された際は、早期化に拍車がかかった。リクルートワークス研究所の大久保幸夫所長は「前倒しによって企業は内定学生の長期の囲い込みを強いられ、辞退率の悪化も見込まれる。学業への影響もあり、前倒しで問題なのは早期化ではなく長期化することだ」と指摘。中西会長は「(政府要請に)逆らうつもりはない」としており、21年春入社の採用面接や筆記試験は6月1日、内定は10月1日解禁のままの可能性が高い。
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■職種別採用、一定割合で必要
経団連指針は本来、会員企業向けの自主ルールで、外資系や非会員企業、中小企業には縛りがないが、首相が変更を要請するなど国内の統一基準のように扱われてきた。大学教育にも関わる公的性格を持つため、政府主導の議論の場で、産業界と大学が意見交換して見直す案が浮上する。
だが、大久保氏は「採用は企業の経営行動で競争力の源泉。一つの正解があるのではなく、一定の自由度は担保されるべきだ」と指摘する。指針策定から手を引く経団連も、「大学改革と併せ、本質的な議論を深めたい」としている。