ポリマーの未来をクルマで表現。コンセプトカー「ItoP(アイトップ)」のユニークな成り立ち (2/4ページ)

 もともとコンセプトカーは、そうした実用前段階の技術を想定して“明日のクルマ”の成り立ちを描くものであって、今回の「I to P」に実装されていなくても、その存在を前提にしていれば、あるいは実装可能な段階になったら組み込んで機能を確認する、ということであれば、このクルマの存在意義は十分にある。その意味では、日本で久々に登場した「コンセプトカーらしいコンセプトカー」だと言える。

 そうした前提に立って、ここでは「I to P」が自動車としてどんな構成を採っているのかを見てゆくことにしたわけだ。筆者は以前からこうした実走可能なコンセプトカーのエンジニアリングを観察し、紹介することを楽しんできた。今回もそのパターンで進めたい。

 【レーシングカーづくりの達人が協力】

 そんな企画が可能なのも、このクルマの企画・設計・製作を担当した東レカーボンマジック(TCM)の奥明栄社長、実車開発・製作の取りまとめを担当した竹林康仁氏ともに、もともとはレーシングカー開発・製造を通して筆者とは旧知の仲であり、そのつながりを利して詳しい話を聞き、実車を詳細に見取る機会もいただけたからである。とくに奥氏はかつて童夢でF3000、グループC、ル・マン車両などのチーフデザイナーを務め、その中で「自動車へのC(カーボン)FRPの適用」について国内随一とも言える知見をものしてきた人物。ご本人によれば「(2008年のル・マン・プロトタイプ車両)S102以来久しぶりにクルマ1台をトータルで企画、図面を描きましたよ」とのこと。奥氏は今でも執務室に手描き設計用のドラフターを置いている。

 前置きはこのくらいにして…。まず「I to P」、その基本形は、センタードライブ(中央運転席)・後ろ2シートの3座パッセンジャーカー。全長4280mm×全幅1930mm×全高1350mmだから幅は広いがゴルフ、カローラなみのエクステリア・サイズである。ホイールベースは3000mmと長く、トレッドも前1660mm/後1670mmと広めだが、これは車幅が大きいことに加えてタイヤ幅が狭い(後述)こともある。

 そして車両重量は850kg。一体殼状のフルモノコック・シェルは140kg。前後長2.2mもある大きなスイングアップドアがアッセンブリー(窓パネルや開閉機構まで含めて)32kgとのこと。

ボディ、足回り、タイヤまでが「しなやかタフポリマー」

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