「暮らしを創る」企業理念を貫く 市川兄弟から始まった象印マホービン (3/3ページ)

象印マホービンの創業90周年を記念して本社ビル1階に開設された「まほうびん記念館」=大阪市北区
象印マホービンの創業90周年を記念して本社ビル1階に開設された「まほうびん記念館」=大阪市北区【拡大】

  • 他社製品を含む数々の魔法瓶製品を紹介する「まほうびんの森」コーナー
  • 象印の戦後第1号商品「ポットペリカン」
  • ゾウの商標をあしらったガラス魔法瓶の保温ジャー
  • 胴部に花柄をあしらった魔法瓶のポット
  • 電子ジャーの発売で家電業界に参入した
  • 象印のステンレス製魔法瓶の水筒第1号「タフボーイ」
  • 珍しい1964年東京五輪の記念水筒も展示されている
  • 兄の市川銀三郎
  • 弟の市川金三郎
  • 大阪企業家ミュージアムで市川銀三郎を紹介したコーナー=大阪市中央区

 家庭日用品メーカーへ

 象印は昭和45年、ご飯を電気で保温する「電子ジャー」を世界で初めて発売し、家電業界へ参入。炊飯機能を加えた電子ジャー炊飯器も発売し、よりおいしいご飯を炊くための機能開発は今も続く。

 さらに象印は企業理念「暮らしを創る」のもと、ホットプレートやコーヒーメーカー、グリル鍋なども投入し、家庭日用品総合メーカーに発展。戦後以降に発売した製品は累計約3千点に及び、記念館では、珍しいおかゆメーカー、温泉たまご器、プリンメーカーなども見ることができる。

 社長は現在4代目で、銀三郎の孫に当たる典男氏が務める。事業領域別売り上げ構成比を見ると、最大の約64%が「調理家電製品」で、そのうち約40%が炊飯調理。魔法瓶は約30%の「リビング製品」の大半を占め、残り約6%が「生活家電製品」とその他だ。魔法瓶は売り上げ全体の約3分の1だが、祖業を忘れないためにも社名の「象印マホービン」を維持する。

 近年でも、2004年アテネ五輪女子マラソンで優勝した野口みずき選手に特別仕様の二層構造の給水ボトルを提供したり、寒冷地用の不凍パイプや国際宇宙ステーション(ISS)の実験などに魔法瓶技術が使われたりしている。

 100周年を迎えた象印。新たに制定したメッセージロゴ「ずっと もっと 象印らしく」を掲げ、次の100年を歩む。

 ■まほうびん記念館(大阪市北区天満1の20の5)は平日の午前10時~正午と午後1~4時に開館。土日、祝日は休館。見学は電話(06・6356・2340)で予約が必要。